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製作者のビジョンをここまで妥協なく具現化した時計はほかにない。

ベルネロンにとって、それはシンプルなアイデアから始まった。伝統的なラウンドケースにこだわらなければ、ムーブメントはより効率的な技術性能を実現できるという考えだ。まず大きな香箱を可能にし、スペースをより有効に活用することが鍵となる。

イエローゴールドのミラージュ 38mm “シエナ”。

スーパーコピー時計 代引きベルネロンを紹介してから1年(その後Hodinkee Radioにも出演してもらった)、彼はついに最初のミラージュウォッチをコレクターたちに届けた。同時に、新しいキャリバーとストーンダイヤルを備えた第2世代の小型ミラージュも発表している。私たちはケース径38mmの第1世代ミラージュ(ミラージュ 38)の実機と、ストーンダイヤルを採用したミラージュ 34のプロトタイプを見ることができた。いずれのモデルもベルネロンが約束したとおり、デザインとメカニズムを融合させた時計であり、ほかの時計にはない特別な魅力を放っている。

サファイア製シースルーバックから見える、ミラージュのCal.233。

ミラージュ 38は、ベルネロンのオリジナルアイデアを最も純粋に表現した時計だ。パテック フィリップ、ブレゲ、ランゲといった技術的に優れたクラシックなドレスウォッチ(3針時計)からインスピレーションを得る一方で、カルティエやジルベール・アルベール(Gilbert Albert)などのデザイン要素も取り入れている。従来のラウンドドレスウォッチはやや硬さを感じさせるが、他方独自のシェイプを持つ時計は通常、美観を優先して技術的性能を犠牲にしがちである。たとえばかつてのカルティエ クラッシュは、レディースカクテルウォッチ向けの小さなムーブメントを搭載していた。
Cal.233は、レーザー刻印が施された香箱、ブリッジのギヨシェ装飾、そして大型のテンプを特徴としている。

非対称なデザインはすぐに目を引くが、ベルネロンにとってのストーリーはコンセプトと実現の両面において、手巻きCal.233から始まる。ベルネロン氏は当初から大きな香箱とテンプを持つムーブメントを構想しており、これらの技術的要素を収めるために独特な形状を取り入れた。Cal.233は薄さも特徴で、名前が示すとおりわずか2.33mmしかない。

この点に関してベルネロンは妥協を許さなかった。ミラージュはケース、ダイヤル、バネ棒、ムーブメントのメインプレートやブリッジまですべてがゴールドで構成されている。Cal.233のブリッジにはギヨシェとアングラージュ装飾があしらわれており、そのほかにも多彩な仕上げが随所に見られる。さらにブリッジの曲線はムーブメントの非対称な形状に合わせてデザイン。シルヴァン・ベルネロン氏自身は時計職人ではないが、彼の目標はヌーシャテルにおける最高のウォッチメイキング技術と仕上げを披露することであり、ムーブメントはル・セルクル・ドルロジェ(Le Cercle des Horlogers)と共同で開発された。ミラージュには直接駆動するスモールセコンドを採用。針の順番を通常とは逆にして、短い時針を一番上に配置した。これにより傾斜した風防がミラージュの薄型化を可能にしたのである。

最初の1歩となったベルネロン ミラージュ 38
ミラージュ 38のゴールドケースは、非対称のムーブメントに合わせた形状になっている。サイズは34mm×38mm(ラグからラグまでは42mm)、厚さは7mmだ。装着感は38mmのラウンドウォッチに近いが、独特のカーブを描く形状は従来のラウンドウォッチよりも人間工学的に優れた印象を与える。この有機的な曲線は、手首や手首の骨の自然な輪郭にフィットするように見える。また厚さ7mmという薄型ケースと、短く優雅に曲がったラグもこの快適さ実現に役立っている。

セクタースタイルのダイヤルは、ポリッシュとサテンが交互に仕上げ分けされているのが特徴だ。ヴィンテージにインスパイアされつつも数字は現代的で、これはベルネロン氏がミラージュのために特別にデザインしたものだ。このデザインによりミラージュはコンテンポラリーでありながら、わずかにスポーティな印象も与えている。

渦巻くようなダイヤルはケースの形状と調和し、まるでミラージュが動いているかのような印象を与える。まさにドクター・スース(Dr. Seuss)やサルバドール・ダリ(Salvador Dali)の『記憶の固執』を思わせるデザインだ。カルティエ クラッシュのようでもあり、あるいは最高のセクターダイヤルを持つパテック カラトラバも連想させる。

ホワイトゴールドのミラージュ “プルシアンブルー”のセクタースタイルダイヤル。

ミラージュはモダンウォッチという概念を解体している。遊び心がありながらも、同時に深い真剣さも持ち合わせている。ウォッチメイキングの伝統的な規範を捨て去る一方で、その歴史に敬意を表している。“ルールを破るためには、まずそのルールをきわめなければならない”という使い古された格言を思い起こさせるようだ。

21世紀において、“機械式腕時計の目的とは何か?”という問いにしばしば悩まされる。どんな画面であっても時間をひと目で確認できる時代だ。ただもし時計がその本来の存在理由を完全に捨ててしまえば、ただのアクセサリー、装飾品になってしまう。それでも構わないが、機械式時計が正確な時間を刻むために、何世代にもわたって受け継がれてきた職人技を称えることで、時計は単なる装飾品以上の存在となる。

ミラージュは時計のあるべき姿という従来の概念を拒否し、ゼロから再構築するための基本原則に立ち返っている。

現代の時計はもはや時間を知るためのものではないが、ミラージュのストーリーは内部から始まり、外へと広がっていく。アシンメトリーデザインが技術的により効率的なキャリバーを生み出すことを理解しているのだ。機能を再考したあとで、初めてミラージュは形を考えるようになる。

シルヴァン・ベルネロン氏。

これこそがミラージュを特別な存在にしている理由であり、ウォッチメイキングそのものを際立たせる要素だ。現代の時計はもはや機能を重視する必要がなくなり、これまで以上にジュエリーとして認識されるようになった。それ自体がぜいたく品となっているのだ。だがもし時計の本来の機能を完全に無視してしまえば、それはもはや時計ではない。デザインそのものの美しさはあっても、それはウォッチメイキングではないのだ。

今日、最高の時計は芸術だとよく言われるが、それは少し違う。芸術に機能はないが、時計には常に機能がある。現代の生活で時間を知ることの重要性が薄れているとしても、時計の機能性は変わらない。ベルネロンとミラージュはこのことを理解し、それを基本原則として受け入れ、美しいものへと昇華させた。

そのカーブを描いたゴールドの針は、まるでドクター・スースの短編から飛び出してきたかのように時間を示す。しかしミラージュの本質はそこではない。また機械ではそのカーブを磨くことすらできないため手作業で仕上げられているが、それも本質ではない。ベルネロンのミラージュは、伝統に挑むことで美しいものを生み出せることを証明しているのだ。

ベルネロンは今後10年間、ミラージュ 38を年間24本生産する予定だ。うち12本がシエナ(YG)、残りの12本がプルシアンブルー(WG)となる。私はシエナの金無垢ケースとダイヤルが醸し出す温かみと、ほのかにヴィンテージを感じさせる雰囲気が好みだが、プルシアンブルーはその対照的なモダンさが魅力的だ。

ベルネロンのサブスクリプション価格は、初回分(すでに納品済み)4万4000スイスフラン(日本円で約750万円)であり、その後の標準的な納品期間ごとに段階的に価格が上昇していく予定だ。

スモールケースとストーンダイヤルのミラージュ 34

ベルネロンがミラージュ 38の第1弾をクライアントに届けているのとときを同じくして、新たにミラージュ 34も発表された。このモデルには厚さ2.15mmの新Cal.215が搭載されている。ミラージュ 38が時計という概念を解体し始めたのに対し、ミラージュ 34はその論理的な結論に到達しようとしているのだ。セクターダイヤルや正確な時間を示すという考えは取り払われ、代わりにタイガーズアイまたはラピスラズリのストーンダイヤルと手彫りのインダイヤルが採用された。WGまたはYGのケースのサイズは30mm×34mm×7mmである。

インダイヤルは手作業で彫られ、ストーン全体とは異なる質感を持たせている。

ムーブメントを小型化するために、いくつかの技術的な妥協がなされている。テンプはフリースプラングではなくなったが、ベルネロン氏は実際に生産されているなかで最も小さなテンプを使用したと述べている。このサイズでフリースプラングのテンプが可能であれば、よろこんで採用するとも語っている。またCal.215では針の重ね順を逆にしていない。歯車を追加するとムーブメントが厚くなりすぎるためだ。しかしスモールセコンドの針を手彫りのインダイヤルに沈めたことで、ミラージュ 34はさらに薄型に仕上げられている。

しかしミラージュ 34は性能面で妥協していない。左右非対称の形状が実現した効率性により、大きな香箱と約72時間のパワーリザーブを維持している。Cal.215は2万5200振動/時(3.5Hz)で時を刻み、Cal.233の2万1600振動/時(3Hz)よりわずかに高速だ。

ベルネロンは、この非対称のムーブメントによりラウンドキャリバーと比べて小型のCal.215でも大きな香箱を搭載でき、スペースの効率的な活用と技術的な性能向上が可能になると説明した。これによりCal.233と同様、約72時間のパワーリザーブを維持できているのだ。

ミラージュ 38がデザインと技術のバランスを追求しているのに対し、ミラージュ 34はより意図的にデザインに焦点を当てている。YGモデルにはタイガーズアイのストーンダイヤルが、WGモデルにはラピスラズリのダイヤルをそれぞれ採用しており、文字盤の厚さはわずか1.3mmだ。ブランドはストーンダイヤルに沈み込んだインダイヤルを、手彫りで仕上げられる職人を見つけた。この手作業によりインダイヤルにテクスチャーが加わり、ダイヤル全体に対してコントラストが生まれたという。ベルネロンによると、この手作業の難しさから失敗率はおよそ80%、つまり5つのダイヤルのうち4つはスクラップになってしまうそうだ。

ミラージュ 34は小振りながらも、私の手首にはしっくりときた。カラフルなストーンダイヤルが実際よりも大きく感じさせる効果もある。ミラージュ 38の渦巻くようなセクターダイヤルが常に動きを感じさせるのに対し、ミラージュ 34ではストーンダイヤル自体が生き生きとしているように感じられる。

タイガーズアイはまさに70年代そのもので、シャグカーペットや木目調パネル、ワイドラペルを思わせる。一方でアフガニスタン産のラピスラズリを使ったWGモデルは、その対極であるモダンな魅力を放っている。ミラージュ 38と同様、私はこのタイガーズアイの遠慮のない懐かしい輝きが好きだが、ラピスラズリのほうが現代の基準ではより身につけやすいだろう。

ベルネロンは、ミラージュ 34を年間48本、各色24本ずつ納品する予定だ。ミラージュ 38とミラージュ 34の両モデルには、マッチしたグレイン仕上げのバレニアレザーストラップを組み合わせている。またHodinkee Radioで語ったように、ベルネロン氏はブランドの今後の計画にも着手しており、来年にはラウンド型カレンダーウォッチを発表する予定だという。

ミラージュほど時計の概念を覆し、常識に挑戦する時計はほとんどない。1年前に話を聞いたとき、シルヴァン・ベルネロン氏は“ミラージュはほとんど幻想に近いもの”と語っていた。それが完全に実現した今、ウォッチメイキングのあり方がどうあるべきかについて、力強いメッセージを発している。

ハミルトン カーキ “マーフ” 38mmにホワイトダイヤルが登場。

映画の公開から10年という時が経った今年(時が経つのは早いものだ)、ハミルトンは38mm径のカーキ フィールド マーフから(多くの人が求めたというわけではないが、確実に受け入れられるであろう)ふたつのアップデートを発表した。

ロレックス スーパーコピー代引きまずは38mm径のマーフのブラックダイヤルバージョンに追加されたステンレススティール(SS)製ブレスレットモデル。『インターステラー』で登場した時計はレザーストラップ仕様だったため、今回の変更は映画好きや時計ファンだけでなく、ハミルトンの常設モデルとして汎用性の高いオールラウンダーウォッチを探している人にもアピールするものだと推察できる。

38mmのケース径と11.1mmの厚さという一見理想的なサイズにもかかわらず、私自身はカーキ マーフが数値以上に大きく感じられる。ラグからラグまでの長さが非常に合理的な44.7mmであっても、その感覚に変わりはない。薄いベゼルもひとつの要因となっているかもしれないが、主にラグの形状が原因であると考えている。その点を踏まえると、新しいブレスレットのほうが手首に対してよりバランスが取れていると感じた。エンドリンクがその役割を大いに果たしているのだと思う。ブレスレットは3連で、センターリンクのファセットはポリッシュ加工され、ヘアライン仕上げが主体のブレスレットにコントラストを加えている。ダブルプッシュ式の削り出しクラスプは3段階の微調整が可能だが、いわゆるバネ棒外しが必要である。

ブレスレットはしっかりとした感触で快適だが、あえて批判するとすれば見た目がやや無難すぎる点が気になる。マーフのダイヤルはカテドラルハンドによって非常に特徴的になっているため、よりスタイリッシュなブレスレットを採用していたらさらにおもしろみが増したのではないだろうか。またブレスレットの角度、特にポリッシュ加工された部分についてはもう少しシャープに仕上げられていてもよかったかもしれない。特に同価格帯で魅力的なブレスレットを持つマイクロブランドが登場していることを考えると、その点が気になる。とはいえ大半の人々は今回のブレスレットの追加に不満を抱くことはないだろうし、私自身も歓迎している。ストラップ仕様のマーフ 38mmは現在13万6400円(税込)で販売されているが、ブレスレットバージョンは14万8500円(税込)で登場した。1000ドル(約15万円)未満であることに安堵している。

次に、より劇的な変化としてラインナップに加わったのが白い文字盤を持つカーキ フィールド マーフ 38mmだ。情報だけ見ると単なる色の変更に過ぎないが、これは非常に注目に値する。というのも、クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督の映画に登場したモデルからビジュアル的にかけ離れた時計を見るのは、これまでのマーフのバリエーションでは初めてのことだからだ。オリジナルモデルはフラットな黒いダイヤルを持っていたが、ハミルトンは今回、ホワイトのダイヤルに少しテクスチャを加えている。これまでにもハミルトンはカーキ フィールドやエクスペディションなどで白ダイヤルのバリエーションを多く展開してきたが、今回追加されたテクスチャのおかげでマーフはそのラインナップのなかで特別な存在感を放っているように感じる。

インデックスはベージュのスーパールミノバ®︎で、ブラックダイヤルのモデルに比べてわずかに明るいトーンで、数字が黒で縁取られているのがいいアクセントになっている。また数字やテキストのあしらいは特別立体的ではないが、微妙に浮き上がって見えるプリントが施されており、ダイヤルに奥行きを与えている。非常にクリーンでていねいに仕上げられたダイヤルだ。

そのほかのディテールは従来の38mm径のカーキ マーフと同様で、価格も13万6400円(税込)と変わらない。サファイアクリスタルのケースバックからは、80時間のパワーリザーブを持つ自動巻きムーブメントであるH-10が見える。このモデルにはクロコダイルのパターンがエンボス加工されたブラックレザーストラップが付属しており、ハミルトンのロゴが入ったバックルが取り付けられている。ただしストラップは新品の状態では非常に硬く、撮影中に慣らすのはほぼ不可能だった。ブランド側は黒いストラップとの組み合わせが(ダイヤルとの)コントラストを生むと述べているが、個人的にはより柔らかいカーフスキンストラップ、あるいはサイドステッチの入ったラギッドなブラウンストラップでこの時計を見てみたかった。しかしラグ幅は20mmであるため、私のように自宅に多数のストラップを持っている人ならこの問題は簡単に解決できるだろう。

ハミルトンがブラックダイヤルのバージョンにしかブレスレットを追加しなかったのは、少し不思議に感じる。しかしブレスレットの変更とダイヤルの色変更をそれぞれ1種類のモデルに絞ることは、ブランドが市場の反応を試すうえで賢明な方法だと思う。もしホワイトダイヤルのマーフが消費者にヒットすれば、同モデルにブレスレットが追加されるのも時間の問題となるだろう。

総合的に見て、ホワイトダイヤルのマーフをこれほど気に入るとは自分でも思っていなかった。ダイヤルのテクスチャがこの時計に独特の雰囲気を与えており、オリジナルのマーフを補完する素晴らしいバリエーションとなっている。ブラックダイヤルの38mm径マーフが大成功を収めたことを考えると、このホワイトのモデルも強い支持を得ることは間違いない。

グランドセイコー SLGA025 “阿寺渓谷”は私が久々に見た最高の新ダイヤルが新登場。

1年のあいだに発表されるすべての新作に追いつくのは不可能だ。これまでにも重要なモデルを見逃してしまうことがあり、それが大事なことだったとあとから気づくこともあると率直に話してきた。ときには少し時間が経ってからでないと、その価値を十分に理解できないこともある。Geneva Watch Daysでの発表と直近の日本への旅行が重なり、私は危うく名作になる可能性を秘めた作品を見逃すところだった。

新作のSLGA025 “阿寺(あてら)渓谷”スプリングドライブモデルはまったくもって素晴らしいものだ。8月末のグランドセイコーの新作発表をすべてチェックする時間がなく、同僚のタンタンが特大ニュース(新しい9SA4ムーブメントを搭載した45GSスタイルの復活)を報じていたものの、SLGA025の存在には気づいていなかった。しかし日本の塩尻にあるセイコーエプソン工場を見学しているとき(この工場は、グランドセイコーのスプリングドライブやクォーツウォッチを手がける信州 時の匠工房がある)、文字盤部門にてひとりの女性が、見たことのない素晴らしい青いフュメ風ダイヤルの落下試験を行っているのを目にした。20フィート(約6m)も離れていて、しかもガラス越しだったが、私はその美しさにすっかり魅了されてしまった。約1時間後、目の前にはグランドセイコーがここ数年で手がけた最高のダイヤルのひとつと言っても過言ではない完成見本があった。

オメガ スーパーコピーダイヤル以外の仕様は、諏訪湖モデルのSLGA019と同じである。本作は1967年の44GSで確立されたブランドの“デザインの文法”に基づきながら、現代的で軽量に仕上げられたエボリューション9コレクションだ。グランドセイコーはこのデザインをよりスポーティでコンテンポラリーにアップデート。その結果として、40mm径、11.8mm厚で、高強度なブライトチタンケースを持ち、22mmのラグ幅、ラグからラグまで47.9mmという仕様となった。

グランドセイコーは文字盤第一主義だと揶揄されるかもしれない。だがそれでは、長年にわたる彼らの時計製造における数々の功績や、精度、視認性、機能性、そして最近の機械式コンプリケーションへのこだわりを無視することになる。確かに、GSはカルト的な人気を持つ文字盤をいくつもつくり上げてきた。たとえば、白のSBGA211 “雪白”や、控えめなピンクの“春分”は、ブランドで最も成功したモデルだ。そしてこの新作“阿寺渓谷”を手がけたのも、まさにこれらの名作を生み出した同じクリエイターたちである。

関氏、田中氏、そして秦氏は、文字盤デザインのインスピレーションを解釈するだけでなく、その解釈をいかに実現させるかを考えるチームメンバーだ。彼らは皆“雪白”と“春分”の製作に携わっており、文字盤製作における“ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス”のように、次々とヒット作を生み出している。

機密保持の理由から、ダイヤル製造のプロセスについて多くは語れないが、最終的な結果に至るまでに多くの試行錯誤があったことだけはお伝えできる。すべては彼らの自然へのインスピレーションと愛から始まっている。このダイヤルは日本の阿寺渓谷を流れる、青緑色の澄んだ川から着想を得ており、秦氏はハイキング中に撮ったその川の写真をスマートフォンで見せてくれた。田中氏はガーデニングへの情熱から自然を愛するようになり、それが流れる川に合うテクスチャーを思い描く上で役立ったと言う。

ダイヤルパターンをつくり出すため、彼らはアトリエでこれまで使ったことのない工具を使うことになった。これらの工具を手作業で操作しながら、川を流れる大小の水の流れを表現し、プレート上に自然な模様を削り出していった。より大きな工具を使って川の大きな流れを表現しようとしたが、細かな制御が難しくなり、さらなる試行錯誤を要することになった。最終的にはプレート上に適切なパターンを見つけ、複数の試作が行われたことでダイヤルベースが完成し、次はカラーの実験が始まった。

残念ながらダイヤル製作のプロセスについてこれ以上詳しくはお伝えできないが、見ればひと目で分かることがある。それはこのダイヤルが、見る者を強く引きつけるほど美しいということだ。

ケース内部には、自社のスプリングドライブ技術を結集して誕生した自動巻きスブリングドライブムーブメント、Cal.9RA2が収められている。このムーブメントは約5日間(約120時間)のパワーリザーブを備え、精度は日差±0.5秒、月差±10秒となっている。パワーリザーブインジケーターが裏蓋にあり、これが非常にありがたい。というのもこれほど美しいダイヤルにパワーリザーブインジケーターが入るのは避けたいところだからだ(もっと言えばデイト窓もないほうがいいかもしれない)。

グランドセイコーのすべてのラインナップのなかで、スプリングドライブが最も重要な技術であると言っても過言ではない。クォーツの精度を自動巻きや機械式の機能と組み合わせることは、グランドセイコーの卓越したダイヤルと同様、ブランドの本質を体現している。9RA2は、より一般向けのスプリングドライブムーブメントにおいてその頂点に立ち、以前の9R6xムーブメントと比べてサイズ、装飾、精度、使いやすさにおいて大きく進化している。パワーリザーブは3日から5日に延長され、新しいオフセットマジックレバーというシステムを使用してムーブメントを小型化しつつ、異なるふたつのサイズのゼンマイ香箱を使用することで精度を維持し、日付機構もより高速化された。

完璧な時計は存在しないし(まあ、基本的にはどの時計もそうだが)、よくいわれる不満を長々と述べるつもりはないが(あえて言えばブレスレットにブレスレット、それとブレスレットだ)、マイクロアジャストがないこと自体それほど大きな問題ではない。ただ価格が146万3000 円(税込)ともなれば、それが標準装備であるべきだとは思う。それ以上に気になるのは、ラグ幅の広さと、グランドセイコーのブレスレットがほとんどテーパーしない点だ。このふたつの組み合わせによりエレガンスさを損ない、時計がやや角ばった印象になってしまっている。さらに高強度なブライトチタンは、ブランドのブリリアントハードチタンに比べてかなり鈍い灰色に見えるため、時計のヘッド部分が本来の輝きを十分に引き出せていない。

そうは感じないかもしれないが、グランドセイコーはパンデミック時に始まった限定版の多さを抑えようと力を入れているようだ。その代わりに、ブランドは焦点を絞り込み、(たとえば“白樺”のように)同じダイヤルをさまざまなケース素材で展開しているようだ。本モデルは限定版ではないが、“阿寺渓谷”ダイヤルのバリエーションがこれだけに留まるとは限らないだろう。

またここ数年、グランドセイコーにも価格の上昇が見られるように感じる。最近のモデルは(より一般的な消費者レベルでも)79万2000 円から188万1000 円する機械式クロノグラフまで、幅広い価格帯におよんでいる。私が指摘した細かいディテールが積み重なり、146万3000 円(すべて税込)という価格帯がブランドの最近のリリースにおいて新たな基準になりつつあるが、140万円を超える価格は一部のコレクターにとっては受け入れがたいものかもしれない。

この時計が“雪白”や“春分”のようにクラシックなモデルになるかどうかはまだ分からない。しかしどちらのリリースも、ブランドにとって“一瞬”を切り取ったものであり、市場を驚かせた新しいダイヤル技術や、グランドセイコーが持つ四季や自然への深い愛を多くの人々に知らしめるきっかけとなった。これらは明るいダイヤルのためさまざまなシチュエーションで使いやすいが、新しい“阿寺渓谷”ダイヤルは、より大胆で目を引くデザインで、全員に好まれるとは限らないかもしれない。

しかし、あのダイヤルだ。本当に素晴らしい。光のなかで移り変わる様子は壮観だ。グランドセイコーの写真だと、私が実際に見た印象よりも明るく、ややグリーンが強調されているように感じる。どんなダイヤルも環境との相互作用が大きく影響を与えるが、斜めから暖かい光を反射させると、このダイヤルは紫に近い色合いを帯びる。私の手首の上だともっと青みが強く、暗い印象を受けた。しかし明るい光の下ではグリーンの下地が浮かび上がり、まるでクジャクの羽の縞模様のようにも見えた。今回のリリースもやはりグランドセイコーらしく、ダイヤルが主役と言っていいだろう。そしてこれほど素晴らしいダイヤルなら、称賛に値するだろう。

グランドセイコー エボリューション9コレクション SLGA025 “阿寺渓谷”。直径40mm、厚さ11.8mm、ラグからラグまで47.9mm、ラグ幅22mmのブライトチタンケース、100m防水。ザラツ研磨とサテン仕上げのコンビネーション。阿寺渓谷をイメージした縞模様のダイヤル。自社製の自動巻きCal.9RA2搭載、時・分表示、センターセコンド、日付表示、パワーリザーブ表示。約5日間パワーリザーブ、月差±10秒。ブライトチタンブレスレット。

スイス製ムーブメントを搭載し、洗練されたデザインを持つ時計だ。

M.A.D. エディションズがカルト的な人気を誇るM.A.D.1の第5弾を発表した8月27日は、手ごろでアバンギャルドな時計を愛する人々にとって素晴らしい日になったことだろう。今回はこれまでで最大のアップデートが施されている。2021年6月、MB&Fの創設者であるマクシミリアン・ブッサー(Maximilian Büsser)氏がサプライヤーやコレクターコミュニティに比較的手に取りやすい価格の時計をメールで共有したことから始まったこのモデルは、過去3年間で4つのバリエーションを生み出してきた。M.A.D.1は手首を回転させることなくサイドから時刻を読めるようにした時計であり、これまではケースの縁部分を回転するふたつのバレルで時と分を表示したものである。時計のトップには円を描きながら高速で回転する片方向巻き上げ式のローターブレードがあり、それが大きな視覚効果を生み出していた。この時計はこれまでに何度もカラーチェンジを繰り返してきたが、毎回魅力的なモデルに仕上がっていた。

M.A.D.1.S.
ロレックススーパーコピー優良サイトさて、このM.A.D.1Sはジムで鍛えたかのように少しスリムになったようだ。新しいリリースではマックス・ブッサー氏の手により、直径42mmに厚さ15mmと前モデルに比べて20%ほど薄くなった。また初めてスイス製ムーブメント(従来の日本製ミヨタ821Aではなく、改良されたラ・ジュー・ペレのG101)を搭載している。さらに厚さを削減するために、アワーディスクの回転だけで時刻を知らせるシンプルなシングルバレルでの表示が採用された。ラグも細くなり、上から見ても横から見ても以前ほど威圧的な印象を与えない。

M.A.D.1.S.
 M.A.D.1Sは限定モデルではないが、今回のロットでは一般販売分として一定数のみが生産される。M.A.D.1Sの一部にはパープルのアクセントがあるモデルがあり、これはMB&Fのサプライヤーや既存の顧客にのみ提供される予定だ。その他のモデルにはアイスブルーのアクセントが施され、過去のリリースと同様に1500本が抽選で割り当てられる。ただし将来的に追加生産が行われる可能性もある。その抽選はシステムの不正操作やボットの使用がないよう監視され、独立した執行官によって監視されるため、誰もが公平なチャンスを得ることが可能だ。価格は2900スイスフラン(日本円で約50万円)で、抽選へのエントリー期間は8月27日(水)から9月2日(月)までとなっている。

M.A.D.1.S.
我々の考え
さあ友よ、待ちに待ったこの瞬間がやってきた。今回は本当に興奮している。M.A.D.1は以前から私のレーダーに引っかかっていた。私はマックス・ブッサー氏とMB&Fの大ファンだが、その価格帯から彼の時計デザインの粋を体感することはまずありえないと思っていた。だからこそM.A.D.1は特別なのである。多くの人々が突然、手首の上でブッサー氏の創造性に触れるチャンスを得ることができたのだ。しかし、同じように考えたのは私だけではなかった。

 最初のM.A.D.1では1500本の時計に対して1万9000人の応募があった。2回目のリリースでは、同じ本数に対して2万2000人が殺到した。さらにこの時計は手ごろな価格帯の時計に贈られるGPHGチャレンジ賞も受賞している。そして(あなた方の多くと同様に)私も以前その抽選には外れてしまった。しかしこの新しいモデルを見ると、(もし今回当たるのならば)これまでの待ち時間には価値があったように思える。

M.A.D.1.S.
 これまでは、抽選に外れても比較的平気だった。これは最大級に奇抜な時計であり、比較的手ごろな価格とはいえ厚さ18.8mmの時計をどれほどの頻度でつけるかは疑問に感じていたからだ。運の悪さをごまかすために、「この値段なら、もっと身につける可能性が高い時計があるはずだ」と自分に言い聞かせたりもした。しかし今作では時計がスリムになり、写真で判断する限り3.8mmの数値以上に薄く見える。確かにより正確に時間を把握するための分表示のトラックがなくなったため、精度が若干犠牲になっているが、これは精度が重要なポイントとなる時計ではない。ケースの側面を見て「だいたい7時18分くらいかな」と思うだけで十分だろう。パリ・デュコヴィック(Pari Dukovic)風のスタイリッシュな写真では分かりにくいが、洗練されたラグも時計を視覚的にスリムに見せるのに役立っている。

M.A.D.1.S.
 もしかしたらこれが3度目の正直(もしくは4度目か……、いずれにせよ)かもしれない。私は今回も確実にエントリーするつもりであり、抽選が締め切られる前にこの時計を実際に見て、さらに考えを深めたいと思っている。その時が来れば、皆さんがどこで見つけられるかはご存じのはずだ。ああ、忘れる前にもうひとつ。プレスリリースでチームが新たな情報をちょっとだけ教えてくれた—M.A.D.2も近々登場予定とのことだ。

M.A.D.1.S.
基本情報
ブランド: M.A.D. エディション(M.A.D. Editions)
モデル名: M.A.D.1S

直径: 42mm
厚さ: 15mm
ケース素材: 316L ステンレススティール
文字盤色: 関係諸氏および The Tribe(MB&Fのオーナーズクラブ)メンバーはパープルのアクセントのモデルを、一般はアイスブルーのアクセントのモデルを販売
インデックス: サイドから見るシングルバレル表示
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: SS製フォールディングバックル付きレザーストラップ

M.A.D.1.S. Movement
ムーブメント情報
キャリバー: 改良を施したラ・ジュー・ペレG101
機能: 特殊な回転式アワートラック
直径: 11 1/2リーニュ(約26mm)
厚さ: 4.45mm
パワーリザーブ: 68時間
巻き上げ方式: 自動巻き(片方向巻き上げ式)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24
追加情報: 両面に無反射コーティングを施したミネラルガラスとサファイアクリスタルを使用

シルヴァン・ピノーとエスパーリュクスの特別モデル、オリジン“サント・クロワ”が登場

シルヴァン・ピノー(Sylvain Pinaud)氏は、ボストンの独立系リテーラー、エスパーリュクス(EsperLuxe)と協力し、ピノーのタイムオンリーウォッチ“オリジン”を12本限定で発表すると明らかにした。これはエスパーリュクスがリテーラーとして5周年を迎えることを記念したものである。実物はまだ見ていないが、写真から判断するにこれまでのピノーの作品のなかで最も気に入っている。ハイエンドウォッチメイキングの一例として、その価格は決して安くないがそれだけの価値があるように感じる。

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
リシャールミルスーパーコピー時計 代引き新作オリジン“サント・クロワ(Ste Croix)”は、2023年のGPHGで“オロロジカル・レベレーション賞(Horological Revelation)”賞を受賞したオリジナルのオリジンを基にしている。ムーブメントには自社製の輪列とスイスレバー脱進機が搭載されている。特筆すべきはダイヤル側の6時位置に配置された13.2mmのフィリップスカーブ付きヒゲゼンマイである。秒針は10時位置にあり、時刻表示は2時位置のシルバートーンのフロステッド仕上げとサテン仕上げが施されたインダイヤルに表示される。この美しく際立つシンプルなレイアウトによって、ピノー氏のハンドクラフト技術が強調されているのだ。地板はフロステッドゴールド製で、オリジナルのオリジンにはなかった色味が加わっている。今回のモデルではダイヤル上の“Hand Made”表記が取り除かれたが、そもそもこの表記は不要だと感じていた。作品はそれ自体を物語っている。

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
ムーブメントの裏側は一見シンプルに見えるが、やはり写真を見る限りその仕上げは裏側も素晴らしい。ムーブメントは手巻きで、パワーリザーブは約55時間。ケースはステンレススティール製で、そのシェイプはF.P.ジュルヌの時計をほうふつとさせるものであり、サイズは40mmで厚さは11mmだ。繰り返しになるが、優れた手作業には値段を付けるべきではない。だがもし値段を付けるとすれば、この時計は7万6900スイスフラン(日本円で約1315万円)となる。

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
我々の考え
シルヴァン・ピノー氏はもっと注目されるべき時計師だと思うが、残念ながら彼の作品を実際に見たことはまだない。彼の作品は最高水準の品質に見えるが、現時点で発表しているのはわずかに異なるふたつのデザインを持つモデルだけであり、これが彼自身のスタイルとして確立されたものかどうかははっきりしていない。ただ個人的にはそうであってほしいと願っている。というのも、どの要素を見ても素晴らしく、特にテンプやブリッジ、ダイヤルのパーツ、ブリッジのシェイプなど、どれも非常に緻密に計算されているように感じるからだ。

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
いくつか気になる点もある。たとえば通常テンプが収まるはずの背面の隙間が、まるで何かが欠けているように目立つ。しかし、これもひとつの魅力かもしれない。確かにその隙間が視覚的な緊張感を生み出しているようだ。

エスパーリュクスについては、昨年のクリストファー・ダブール(Christopher Daaboul)氏に関するプロフィールを記事で紹介したことを覚えているかもしれない。彼は長年にわたり情熱的なコレクターであり、独立系時計師たちを支持し、現在では5年間にわたり独立時計師たちの小売業者としても活躍している。彼は2021年にZoomを通じてシルヴァン・ピノー氏と出会い、その後サント・クロワ地方にあるピノー氏のアトリエを訪れたそうだ。ダブール氏によればこの時計はサント・クロワ地方のウォッチメイキングからインスピレーションを得ているという。正直なところ、その地域の時計製造については詳しくないため細部までは分からないが、写真を見る限りこのオリジンのバージョンが個人的には一番気に入っている。

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
 ゴールドフロステッド仕上げが施された地板は、F.P.ジュルヌやフェルディナント・ベルトゥーの美学を思わせる伝統的な雰囲気を醸し出している。このような時計にうまく調和しており、特に前面に大きく配置されたテンプとの相性が抜群だ。また発売時のシルバートーンのオリジンよりも視認性が高いように感じられる。SSケースの時計で7万6900スイスフラン(日本円で約1315万円)という価格は驚くかもしれないが、その価格はオリジンに見合うハンドクラフトとハンドフィニッシュのレベルに見合ったものだと言える。そういった意味では、ピノーの時計を実際に見る努力をしなければならないと再認識させられた。

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
基本情報
ブランド: シルヴァン・ピノー(Sylvain Pinaud)
モデル名: オリジン“サント・クロワ”(Origine "Ste Croix")

直径: 40mm
厚さ: 11mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: サークルポリッシュとサブラージュ仕上げの中央部分に、ゴールドフロステッド仕上げを施した地板
インデックス: 青焼きされた時・分・秒針
夜光:なし
ストラップ/ブレスレット: カーフレザーストラップ、SS製デプロワイヤントバックル

Sylvain Pinaud Origine 'Ste Croix'
ムーブメント情報
キャリバー: オリジン
機能: 時・分表示、スモールセコンド
直径: 33.8mm
厚さ: 6.9mm
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
追加情報: 自社製脱進機と可変慣性テンプ(テンプ径13.2mm)、フィリップスカーブ付きヒゲゼンマイ

価格 & 発売時期
価格: 7万6900スイスフラン(日本円で約1315万円)
発売時期: エスパーリュクスを通じて発売中
限定: あり、世界限定12本

持ち前のソリッドさをMOPで程よく抑えた、限定モデルらしいプレミアムな1本だ。

シチズンブランドの始まりとなる懐中時計“16型”が、尚工社時計研究所により世に送り出されてから今年で100周年。この9月にもメーカーとしての大きな節目を祝うべく、鮮やかなブルーダイヤルを持った限定モデルが登場する。ベースとなるのは、昨年発表されたシリーズエイトの完全新作である880 メカニカル。文字盤には東京の都市を表したという市松模様は見られず、代わりにブルーグラデーションをかけたMOP(白蝶貝)が収まっている。シチズンはこれまでにも100周年記念モデルとして、16型を思わせるチタニウム合金の懐中時計に始まり、構造色インクによる文字盤で“ときの積層”を表現したブランド横断コレクションの「LAYERS of TIME」、藍染和紙文字盤を使用したザ・シチズンと立て続けにリリースを行なってきた。いずれも質感豊かな文字盤加工によって、100周年を記念するとともにシチズンの高い表現力を示すようなモデルとなっている。

ディオール スーパーコピー バッグ 代引きケースカラーはメッキによるグレーとブルーのコンビだ。このグレーは別体構造となったミッドケースや中ゴマのグレーブルーとトーンが近しく、コントラストを抑えて落ち着いた雰囲気を漂わせている。一方で両方向回転ベゼルにはメリハリが効いた黒青のベゼルインサートが使われ、これによって時計全体がピリッと引き締まっているように見える。

ケースサイズは従来のモデルと変わらず、直径が41mmで厚さは13.5mm、ラグからラグまでが47.8mmだ。10気圧の防水性能と2種耐磁を加え、2万8800振動/時で駆動して約50時間のパワーリザーブを備えるCal.9054を搭載している。そしてもちろん、今作も時針単独修正機能を持つ“Flyer”GMT(もしくはトゥルーGMT)である。

文字盤にMOPを使用した分、価格は通常モデルからは少々アップしたが、それでも27万5000円(税込)とまだまだ手に取りやすいレンジに収まっているのはありがたい。本作は世界限定2200本で展開され、9月12日(木)から販売が開始される予定だ。

ファースト・インプレッション
立体的でインダストリアルなベゼルに幾何学模様の文字盤を合わせた、通常モデルの男らしい顔立ちも好きだった。だが、本作で文字盤一面にあしらわれたブルーMOPは光を受けて輝く水面を覗き込んでいるようで幻想的である。SSケースに施されたグレーのメッキは、時計全体で見たときにブルーのMOPをひと際強調しているようでもある。僕はツールウォッチのデザインにMOPという組み合わせに好意的だ。無骨な表情のなかにMOPらしい品のあるニュアンスが加わることで、肩の力が抜けたような柔和さとほんの少しのプレミアム感が加わる。昨年発表されたなども、日常生活にはオーバースペックなU1の文字盤をMOPに変更したことでライフスタイルに落とし込みやすい顔に仕上がったと感じた。まあ、シリーズエイトはそもそも“身につけることでその人の持つライフスタイルを表現”するというコンセプトの時計であるために、提案の幅を広げるべくMOPを取り入れたと考えるべきだろう。スポーティかつソリッドな印象が強い通常モデルと比べ、文字盤には魅惑的で上品な雰囲気が漂う。

今回、記事の撮影にあたってはネイビージャケットに合わせてみた。時計の存在感が強いため、シンプルに白シャツの袖口に巻いてもいいだろうが、ダークトーンのトップスと合わせることでブルー文字盤がよりいっそう際立つ。個人的に高く評価したいのが、GMT針と中ゴマの色だ。従来モデルでは視覚的な見やすさからオレンジだったGMT針は、文字盤に近いブルーに変更された。GMTウォッチとしての機能性は少々損なわれるものの、限定モデルとしてのプレミアムな美観のなかでこの針が果たす役割は大きい。加えてブレスの中ゴマをブルーにしたことで、正面から見たときに文字盤とリンクして時計全体に一体感が生まれている。ミッドケースのブルーもそれを補完しており、シリーズエイトの特徴である別体構造を生かしたディテールとなっている。

この100周年記念モデルは限定販売となり、今を逃せばもう手に入ることはない。昨年秋に登場したゴールドの限定モデルは1300本が早々に完売してしまったことから、世界限定2200本とはいえ動きは早いだろうと予測している。個人的に、今回の限定モデルでは880 メカニカルとMOP文字盤とのあいだに強いシナジーを感じた。昨年9月には日本の秋にインスピレーションを受けたという限定のゴールドモデルを出していたが、その文字盤をMOPに変えてもマッチしそうだ。なるべく写真でもMOPの透明感が伝わるように撮影したつもりだが、ぜひ1度光の下で実物を確認してみて欲しい。

基本情報
ブランド: シリーズエイト(Series 8)
モデル名: 880 メカニカル 「 CITIZEN」ブランド時計 100周年 限定モデル
型番:NB6036-52N

直径: 41mm
厚さ: 13.5mm
ケース素材:グレーおよびブルーのメッキを施したSS製
文字盤色: ブルーMOP
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: グレーおよびブルーのメッキを施したSS製

鮮やかな5色のカラーダイヤルからなるメタルカバードのGM-2110Dが登場

八角形のベゼルデザインとスリムなシェイプ、カーボン製のインナーケースが特徴だ。素材はオール樹脂で、耐衝撃性と防水性を備えながらも厚さわずか11.8mmというG-SHOCKとしては驚きの薄さを実現していた。この軽量でスリムなデザインが、頑丈さにファッション性を併せ持ったモデルとして多くのユーザーに支持された。
この成功を受けて、のちにメタル素材を取り入れたモデルが登場するなど2100系は進化を遂げている。最新作のGM-2110Dもその流れを汲み、メタルカバードデザインを採用している点が特徴だ。これはフルメタルではなく、樹脂ケースをメタルで覆う構造であり、軽量性と耐衝撃性を両立させている。今回、進化を遂げた一歩として5色の鮮やかなカラーダイヤルがラインナップ。スカイブルー、ネイビー、ライムグリーン、オレンジ、シルバーという豊富なカラーバリエーションが揃い、個性を表現したスタイルを楽しめる点が大きな魅力だ。

パテックフィリップスーパーコピー時計 代引きケースにはガラス繊維入りのファインレジンを使用し、薄型のケース厚(11.8mm)を実現。サイズは44.4mm径、重さは146gとしっかりとした重量感があり、その色鮮やかさはまさにタウンユースにぴったりなモデルだ。

機能面では、G-SHOCKならではの耐衝撃構造や20気圧防水に加え、針退避機能やワールドタイム表示、ストップウォッチ、タイマー、フルオートカレンダー、ダブルLEDライトを搭載。電池寿命は約3年である。価格は各6万500円(税込)で、9月に発売予定。

ファースト・インプレッション
G-SHOCKファンが気になるポイントはよく分かる。従来の2100系のブレスレットとは違う、と感じるだろう。そう、新作は2100系で初めて、ディンプルのアクセントが廃されたシンプルなブレスレットが採用されたのだ。

今年の6月に登場したGM-B2100AD。まだこの時点では各コマにふたつのディンプルがあしらわれている。

新作ではディンプル(各コマの両端にある、丸いネジのように見えるもの)のアクセントがなくり、ポリッシュ仕上げからヘアライン仕上げに変更されたことにより金属の印象がより落ち着いたものとなった。よりクリーンでミニマルな外観を実現しているように思う。

どちらがデザイン的に優れているか、それは個人の好みによる。私はまだ実機を見ていないので判断できないが、ディンプル付きのデザインに見慣れているからか正直まだその見た目に完全になじめていない。でもシンプルさを追求したブレスレットにはまた違った独自の魅力があるとも感じている。実際に手に取ってみて、質感や装着感がどう変わったのかも確かめてみたいと思う。

基本情報
ブランド: G-SHOCK
モデル名: GM-2110D
型番: GM-2110D-2AJF(スカイブルー)、GM-2110D-2BJF(ネイビー)、GM-2110D-3AJF(ライムグリーン)、GM-2110D-4AJF(オレンジ)、GM-2110D-7AJF(シルバー)

直径: 44.4mm
厚さ: 11.8mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: スカイブルー、ネイビー、ライムグリーン、オレンジ、シルバー
夜光: ダブルLEDライト
防水性能: 20気圧防水
ストラップ/ブレスレット: ワンプッシュ三つ折れ式バックル付きSS製メタルバンド
追加情報: 針退避機能、ワールドタイム表示、ストップウォッチ、タイマー、フルオートカレンダー

ムーブメント情報
機能: 時・分・秒表示
パワーリザーブ: 電池寿命約3年
巻き上げ方式: クォーツ

価格 & 発売時期
価格: 各6万500円(税込)

サザビーズ・ニューヨークに出品されたパテック フィリップ WG製Ref.3448

Ref.3448は、私のお気に入りのヴィンテージリファレンスのひとつである。ケースが磨かれていない状態のシャープなラグと、シンプルな文字盤のレイアウトには非常に洗練された魅力がある。そのためサザビーズで非常に貴重なRef.3448が出品されると聞いたとき、私は実物を見に行かざるを得なかった。これからご覧いただくのは、おそらくあなたが1度も見たことがないであろうものだ。パテック フィリップ Ref.3448のWG製ケースに、後年のRef.3450に見られるYG製ケースが予備として付いている。さあ、パテック フィリップスーパーコピー 時計 代引きこれがコンバーチブル(変更可能)なパテック フィリップだ。

Patek Philippe 3448 Convertible
このWG製Ref.3448にはまったく異なるケースと文字盤、針、リューズが付属している。これらはすべてYG製だ。

 そう、言葉どおりだ。この時計はサザビーズ・ニューヨークでオークションに出品される予定(記事執筆当時)だが、1966年にWG製のRef.3448として誕生し、1967年に初代オーナーが購入した。その後YG製のバージョンが欲しいと思い立ったオーナーは、1986年にパテック フィリップに手紙を書いてYG製のケースとそのためのダイヤル、針を作ってもらい、気分によってムーブメントを入れ替えられるようにできないかと依頼した...…、 そしてパテック フィリップはこの要望に応じたのである。

Patek 3448 White
Patek perpetual 3448
 唯一違ったのは、パテック フィリップが提供したのがRef.3450のYG製ケースだったことである。Ref.3450は1981年に発表されたRef.3448の次世代機であった。パテック フィリップはまたYGのインデックスが付いたRef.3448用のダイヤル、それに付随する針とリューズも供給した。最も驚くべき点は、そのすべてが事細かく記録されていることだ。オリジナルのRef.3448にはオリジナルの証明書が付いており、追加のケースについては今年新たに入手したアーカイブの抜粋によって確認されている。サザビーズには顧客とパテック フィリップとのあいだでやり取りされていた複数の手紙もあり、それがこの一連の出来事を裏付けている。

Patek 3448 Convertible Sothebys
ひとつでふたつの時計が楽しめる!

パテック フィリップが個別注文を受けることは非常にまれであるため、このようなことが実際に起こったという事実は非常に驚くべきことだ。さらにこの時計が非常に希有な出来事に関する完全な書類を伴い、良好な状態で残っているということもこの時計をいっそう驚くべきものにしている。

Patek 3448 wristshot
 このロットの推定価格は30万ドルから50万ドル(当時のレートで約3600万〜6000万円)である。一般的にWG製のRef.3448は25万ドルから45万ドル(当時のレートで約3000万〜5400万円)で販売されており、YG製のものは8万ドルから15万ドル(当時のレートで約960万〜1800万円)で販売されている。2014年にはジュネーブでWG製の特別なRef.3448が31万1000スイスフラン(当時のレートで約3920万円)で販売されているため、オークション当日の午後、これらの時計の評価がどうなるかは興味深いところである。

ウグイスが、、、!

今週のセレクションに入ろう。今週のピックアップにはアメリカンフットボールに由来するチューダー、ギュブランで販売された特別なヴィンテージパテック、そしてイギリス警察に押収されたのちにオークションにかけられた最も人気のあるパテックが含まれている。

チューダー デイトデイ ジャンボ Ref. 7017/0 1969年製、1974年コットンボウル・クラシックモデル
A vintage Tudor
 コットンボウルはカレッジフットボールにおける最も古いボウルゲーム(アメリカ合衆国のカレッジフットボールにおいて、シーズン後に行われる試合)のひとつである。もしピンときていないなら簡単に説明しておこう。NCAAのディビジョン1フットボールのレギュラーシーズンが終了すると、成績優秀なチームが追加のボウルゲームに招待されるか出場資格を得る。歴史的にコットンボウルは国内でトップランクのチーム同士が対戦する場であり、現在では「ニューイヤーズ6」ボウルのひとつとしてナショナル・チャンピオンシップ・ゲームの対戦相手を決定するための最も権威あるゲームに数えられている。

タグホイヤースーパーコピー時計 代引きこのボウルゲーム全体のなかで重要な役割を占めるのが、プレイヤーへのギフトである。現在選手たちはプレイステーションやBoseのヘッドホンを受け取ることがあり、優勝チームにはチャンピオンリングが贈られる。リングはどのゲームでも魅力的な特典として喜ばれていたが、プレイステーションは……そうでもなかった。かつてのコットンボウルのギフトは、少し特別だった。1937年に初めて開催されて以来、参加する各チームの選手には腕時計が贈られていた。これらの贈呈される時計のクオリティやコレクター性はさまざまだったが、ロレックスとチューダーが選ばれていた1967年から1976年の期間がピークであった。

A vintage Tudor caseback
A vintage Nebraska trading card
 現在公開されているこの時計は1969年に製造されたが、1974年のコットンボウル・クラシックのために授与されたものである。ロレックスとその姉妹ブランドによるコットンボウルウォッチのなかでも、この“ジャンボ”デイトデイはおそらく最高のものだ。1969年と1970年のロレックス デイトジャストと1974年と1976年のチューダー デイトデイのどちらが優れているかは、甲乙つけがたい。ダイヤルデザインは非常に魅力的で、6時位置に大きなコットンボウルのロゴと年号、アーチ状のテキストを配置するためにすべてのチューダーに見られるすべての文字要素が省略されている。

 1974年のコットンボウルでは、12位のネブラスカ大学が当時1年目で現在では伝説的なヘッドコーチであるトム・オズボーン(Tom Osborne)の指揮のもと、8位のテキサス大学を19対3で圧倒した。さらに興味深いことに各コットンボウルチューダーの裏蓋には受賞者の名前が刻まれている。この時計の受賞者はオフェンシブガードであり、背番号61番のチャド・レオナルディ(Chad Leonardi)であった。

 販売者であるLunar Oysterのキリル(Kirill)が提示している価格は5500ドル(日本円で約79万円)と妥当だ。こちらで確認できる。

パテック フィリップ カラトラバ Ref.3558 1970年代、ギュブランのブレスレット付き(同店で販売)
A vintage Patek
 HODINKEEを代表するPodcast 、Hodinkee Radioの比較的最近のエピソードでホストのトニー・トレイナが私に“過小評価されている”カラトラバのリファレンスを尋ねた。私の答えは控えめなRef.3558であった。そのエピソードでも触れたように、この時計の魅力はいかにロレックス デイトジャストに通じるデザインコードを落とし込んでいるかという点である。パテックが1960年代と1970年代に計時専用の時計、すなわちカラトラバのラインナップを拡大した際にはあらゆる顧客に合うバリエーションが存在していた。この時計が製造されたこと自体が非常に興味深い。パテックとしてはまったく異なる雰囲気を持ちながらも、どこかしらしっくりくるのだ。内部のCal.27-460は象徴的なCal.12-600の第2世代にあたる。簡単に言えば、これらのキャリバーはどちらもその時代において、あるいは歴代でも最高の自動巻きムーブメントのひとつとされているものだ。

A vintage patek clasp
 もしトニーがPodcastでさらに「では、Ref.3558のなかで究極のモデルはなんだと思う?」と尋ねていたなら、私の答えはここで販売されている時計のようなものだっただろう。もし彼がその質問をしてくれて、そして私がPodcastを収録していた時点でこの時計の存在を知っていたならよかったのに! 比較的近くにあったため、Bring A Loupeに掲載する前にこのギュブランのサイン入りパテックを実際に見て、この時計が素晴らしいものであることを確認することができた。特にブレスレットは見事である。クラスプの内側にはギュブランのサインがあり、リンクのデザインは非常に魅力的だ。販売者であるTikTokのマイク・ヌーヴォー(Mike Nouveau)はこの形状を“ドッグボーン”と呼んでいたが、私はギュブランの砂時計ロゴに由来するものだと主張する。

 販売者であるマイク・ヌーヴォーは、このパテックを彼の新しいウェブサイト/アプリであるPushers.ioに掲載しており、2万5000ドル(日本円で約360万円)の価格設定している。こちらで確認できる。

ロレックス GMTマスター Ref.1675 1959年製、第3世代のチャプターリングとギルトダイヤル、ポインテッドクラウンガード付き
A Rolex GMT-Master ref. 1675
 ヴィンテージロレックスシーンは、ほとんどのコレクターがその特徴から“優れた”または”素晴らしい”コンディションを判断できるまでに成熟している。正直なところこの市場が冷静さを見せ始めているのは、完璧な状態への絶対的な執着が一因であると思う。ある程度のところから、優れた時計は全体の見た目から評価されるべきである。ここにある個体のように美しく魅力が尽きないものであれば、完璧な状態でほとんど使用されておらず、ストーリーが見えないものよりもずっと魅力的なはずだ。この時計は何十年も前のものであり、その年季を感じられるほうが好ましい。

 これは素晴らしいヴィンテージのGMTマスターだ。確かにケースには研磨の痕跡があり、ダイヤルも完璧ではない。しかしトロピカルであり、しかもこの時計は実際に使用されてきた。かなり使い込まれたように見える。ヴィンテージウォッチの愛好者として、この時計にいくつかの傷や使用した痕跡があることがうれしい。この使用感がなければ、ベゼルインサートがこれほどまでに完璧に色あせることもなく、ダイヤルが“トロピカル”なブラウンになることはなかっただろう。このようなトロピカルダイヤルは未使用の状態で保持されているよりも、使い込まれたケースのなかにあるほうがはるかに理にかなっている。

 販売者であるロンドンのTortoise Watchesのアーウィンド(Arwind)は、このヴィンテージのRef.1675を3万1000ポンド(日本円で約590万円)で提供している。

A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1 Ref.101.027x 2000年代
A Lange ref. 101.027x
 ブランドが1994年の冷戦後の再出発から30周年を迎える年であるにもかかわらず、コレクターたちは依然としてランゲを見過ごしているようだ。特にランゲ1に対する関心が思ったほど高くないように感じる。これは単純に飽きによるものだろうか? もちろんその可能性はある。しかしこのことが購入のチャンスに繋がる可能性もある。そして上の写真のランゲ1 Ref.101.027xがHODINKEE Shopに掲載されているかどうか。その答えもまた、イエスである。

 ランゲのコレクターたちはRef.101.027xをよく理解していて、愛している。この“シークレット”ランゲ1として知られるリファレンスは、ブルーの針とシルバーダイヤルを備えた特別なモデルで、公式のカタログには掲載されなかったものだ。簡単に説明しておくとランゲはこの時計を2000年代初頭に約225本を製造したとしているが、詳しくは(読むことをおすすめするが)UNESCOとドイツの橋が関係している。どのような経緯があったにせよ、この特別なランゲ1がこれまでに製造されたなかで最もコレクタブルなモデルのひとつとなったのは事実である。私にとって、この時計の魅力は非常にシンプルだ。Ref.101.027xは生産数が少なく、アイコニックなSS製のランゲ1 Ref.101.026と見た目によく似ている。

 前述のとおりこのランゲ1はHODINKEE Shopで提供されている。価格は3万7000ドル(日本円で約535万円)だ。“Back To Basics”セールが続くなかでショップの時計をBring A Loupeに掲載するのは時計が特集に値し、市場価格を下回る場合のみである。

1950s Movado Ref. R4855モバード Ref.R4855 1950年代
A vintage Movado
 さて、今週のeBayピックの時間だ! 先にお伝えしておくが、私はヴィンテージのモバードに対して明確なバイアスがかかっている。毎回のBring A Loupeにモバードを含めないように努力しているのだが、素晴らしいものが次々と出てくるためにどうしても手が出てしまうのだ! ヴィンテージのモバードが何故特別なのか、気になるだろうか? それについてはぜひ読んでもらいたい記事がある!

 一部のコレクター、特にヴィンテージウォッチに詳しい人々でさえこの時代のモバードはやや小さすぎると感じることがある。その直径が40mmよりも30mmに近いモデルが多いなか“ジャンボ”なリファレンスも存在しており、今回のピックはそのひとつである。ファーブル&ペレ(Favre & Perret)社製の18KRGケースは直径37mmで凝った形状の爪のようなラグを備えており、実際の寸法以上に手首での存在感を示すことだろう。全体的なコンディションは非常に良好で、唯一の欠点は3時位置付近のダイヤルに少しパティーナが見られることだけだ。

 この“ジャンボ”でピンクオンピンクのモバードはミズーリ州チェスターフィールドに拠点を置く販売者から出品されており、eBayで確認できる。販売者の評価は非常に高く、オークションは8月26日月曜日の午後6時42分(EST)に終了(日本標準時では8月27日火曜日の午前8時42分)する予定である。

ウブロというブランドの時計を手に取るとき、僕はその外装に目を向けがちだ。

2019年、「ビッグ・バン MP-11」にSAXEMを取り入れてからは同素材による色の開発も積極的に行ってきた(SAXEMについては過去にサラ・ミラーが詳細に解説している)。2024年はオーリンスキーコラボモデルなどで鮮やかなセラミックの表現も見られ、次はどんな提案を行ってくれるのだろうと個人的に早くも来年の新作群に想いを馳せたりもしている。

しかし忘れてはならないのが、ウブロが2010年よりムーブメントを自社開発・製造してるマニュファクチュールブランドであるということだ。8月14日より東京・日本橋三越本店の本館1F ステージで開催されているポップアップイベント、「The Art of Fusion 〜異なる素材やアイデアの融合〜」はウブロスーパーコピーn級品の“マニュファクチュール”としての側面にスポットライトを当てた貴重な場となっている。

開催場所は日本橋三越本店 本館1階のステージ。ポップアップスペースの正面には2024年の目玉である「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ ウォーターブルー サファイア」が大胆に配され、約14日間という驚異的なパワーリザーブを誇るMP-11の姿を象徴的に打ち出している。そこから左右に回り込んだところには発売されたばかりの最新モデルから「ビッグ・バン」、「クラシック・フュージョン」などの定番コレクションまでがずらりと陳列されたショーケースが並ぶ。また、ブースを取り囲むようにしてブランドの“今”を表すハイコンプリケーションがショーケースの台座にセットされており、その素材も色も多岐にわたる顔ぶれからはブランドコンセプトでありイベントのタイトルでもある“The Art of Fusion”を強く感じることができる(なおウブロの担当者いわく、陳列されているモデルはこのポップアップで実際に購入可能なものだという)。

「クラシック・フュージョン」などの定番コレクション。

ウニコ2(Cal.HUB1280)を搭載した、「ビッグ・バン ウニコ」。

 そして今回のイベントにおいて重要な要素となるのが、ムーブメントや独自素材の展示をメインとしたマニュファクチュールとしての側面へのフォーカスだ。会期の前半はウブロの時計師によるデモンストレーションも行われており、ブースの正面に向かって右側には作業台とディスプレイが設置されていた。ディスプレイには初代ウニコとウニコ2の分解・組み立てを行う時計師の手元がアップで表示され、その繊細な作業の工程をすみずみまで眺めることができた。ウブロがこのような形でムーブメントにフォーカスした一般向けのイベントを行うことはこれまであまりなく、取り組みの背景にはブランドのマニュファクチュールとしての奥深さを広く知ってほしいという思いが込められているのだと担当者は語ってくれた。

 ここで少し、ウニコというムーブメントについて紹介をしておきたい。

 バーゼルワールドにおけるビッグ・バンの発表から4年後の2009年、ウブロはジュネーブ湖畔の町ニヨンに本社マニュファクチュールを完成させた。以降この場所が独自のマテリアル開発、そして自社ムーブメント製造の拠点となっていくのだが、ウブロによる初の完全自社開発製造クロノグラフムーブメント「ウニコ」(Cal.HUB1242)が発表されたのは同マニュファクチュールの完成からわずか1年後のことだった(実際の研究開発期間は数年にも及ぶものだったという)。このウニコは約72時間のパワーリーザーブに加えてフライバック機能を備えた高性能なクロノグラフムーブメントであったが、同時にデザイン面での配慮もなされており、クロノグラフ機構を文字盤側に配置することでコラムホイールを鑑賞できるような構造をとっていた。

(左)ウニコ2、(右)初代ウニコ。

 その8年後となる2018年には、そのアップデートバージョンとしてウニコ2(Cal.HUB1280)を発表。初代においてモジュール式であったクロノグラフ機構を一体型としたことで、ムーブメント自体の厚みを8.05mmから6.75mmまでスリム化した。その背景には従来のモデルよりも小振りな42mm径ケースを採用するという目的もあったのだという。またクロノグラフのスタート時の挙動を制御するべく、ウブロは1層目が螺旋、2層目が垂直の櫛目になったユニークな歯車を4番車と秒クロノグラフ車を連結する中間に置いた。ニッケルリンを使用したLIGA製法からなる歯車はそれ自体が弾性を持っており、これによって作動時の針跳びを抑える仕組みになっている。以下に写真を載せるが、この歯車ひとつをとってもクロノグラフ機能や制度へのこだわりがうかがえるのではないだろうか。このほかにもウニコ2では、ヒゲゼンマイの有効長を調整して精度を高めるインデックス・アセンブリ・システムの採用などいくつかの点で初代からの明確なアップデートが行われた。まだ一部のモデルでは初代ウニコも使用されているが、現在ではウブロのマニュファクチュールモデルの大部分がウニコ2を搭載している。

 時計師の手元を撮影している最中、ウニコは高性能であるだけではなくメンテナンス性にも配慮されたムーブメントでもあるとブランドの担当者が教えてくれた。以下の写真は、初代ウニコ、ウニコ2からパージされたムーブメントの一部だ。実はウニコは定期的なメンテナンスが必要な箇所に関して、全体を分解しなくとも分離できる構造となっている。初代ウニコでは脱進機部分がそうであったが、ウニコ2ではベアリング部〜リューズ周りを取り外せるようにしたことで摩耗しやすいパーツの交換を容易にしたのだ。

 なおウニコとしてはウニコ2が最新ではあるものの、各パーツはウブロの技術革新に伴って少しずつアップデートがなされているのだという。現在のものより磨耗しにくく軽量な素材が開発されれば、ガンギ車やアンクルなどのパーツはそれらに置き換えられていく。過去にはカレンダーディスクがよりスムーズに回転するものに変わっていたり、歯車に差される油にも見直しが入ったりしていたようだ。オーバーホールでパーツ交換が発生した際には、該当箇所はそのときの最新のパーツに置き換えられる。ウブロはこの事実を大々的には公表していないが、現状に飽かずによりよいものを探求し、提供し続けるブランドの貪欲な姿勢が垣間見える話だ。

(左)ウニコ2の巻き上げ部、(右)初代ウニコの脱進機部分。

 ポップアップイベントでは引き続き、初代ウニコ、ウニコ2が8月27日(火)の会期終了まで展示されている。ここまでの話を踏まえたうえでウニコ、そしてウニコ搭載モデルを手にとってみると、また違った印象を持つのではないだろうか。

 また、会場には自社開発・製造のハイコンプリケーションムーブメントを搭載したモデルも並ぶ。今回のイベントスペースのなかでも特にウブロのマニュファクチュールとしての凄みを表していたのが、先にも名前が上がった「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ ウォーターブルー サファイア」と、「MP-10 トゥールビヨン ウエイトエナジーシステム チタニウム」だ。ともにムーブメントから外装まで自社製造を行っているウブロのMP(マニュファクチュールピース)コレクションに数えられるモデルで、時計製造におけるイノベーションとそこから生まれる純粋な魅力を体現している。MP-11自体は、これまでにもレッドセラミックにサファイアクリスタル、マジックゴールド、SAXEMとその時々において先鋭的な素材で外装を変えながら展開を続けてきた。しかしこのウォーターブルーサファイアは、組成のための化学式を新たに見直し、独自の透明度指数をクリアするべく数年をかけて開発されたものだという。結果として「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ ウォーターブルー サファイア」はかつてない透明感ある美しさを纏うに至った。7つの香箱から生まれる脅威の約14日間パワーリザーブを持つムーブメントもさることながら、自社一貫製造を可能にしているブランドでしか実現できない思い切った外装表現もまたウブロの魅力だ。

イベントブース正面に配置された「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ ウォーターブルー サファイア」。

水平に並んだ香箱、それに沿うように湾曲したサファイアクリスタルの存在感は圧倒的だ。

 一方の「MP-10 トゥールビヨン ウエイトエナジーシステム チタニウム」は今年初お披露目となる独創的な時刻表示を持つモデルだ。伝統的なダイヤル式の時刻表示を廃し、6時位置の傾斜型トゥールビヨンの外周に秒を、中央上部のふたつのシリンダーで時・分を示すようになっている。またムーブメントは自動“巻き”ながらローターは見当たらず、代わりに左右に設置されたリニアウェイトで動力を得る仕組みを採用した。まるでクルマのエンジンのようにインダストリアルなムーブメントを覆うのは、歪みなく複雑に成形されたサファイアクリスタルであり、ここにもウブロの高い技術力を見ることができる。

「MP-10 トゥールビヨン ウエイトエナジーシステム チタニウム」。寄ってみると、6時位置のトゥールビヨンをはじめとした機構の緻密さに目を奪われる。

 今回のポップアップイベントはある意味、ブランドの原点回帰を示すものだとブランドの担当者は語る。これは2010年のウニコから始まった、マニュファクチュールとしてのウブロを再発見する場なのだ。会期の終わりも迫っているが、超絶技巧を実際に体験できる機会というのはそうそうない。ウブロに対して、ただひたすらに派手でセレブリティがつけているブランド……、という偏ったイメージを持っているなら、それを払しょくして時計ブランドとしての真価に触れるいい機会になるだろう。

初雪です!

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おはようございます(^^)

今朝はこの冬一番の寒い霧山茶園となりました。

初雪です!!

茶摘み体験!秋バージョン

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今日は、素晴らしい秋晴れに恵まれました。

高知市の江の口養護学校の小中学生と先生方総勢39名の体験学習でした。

気温もぐーんと上がり少し暑いくらいになり、病気療養中の生徒さんばかりなので心配しましたが、茶摘みをしたり茶園散策や工場の見学と時間いっぱいに楽しんでいただいたようでした(^^)

普段外で遊ぶ機会の少ない生徒さんも多いとかで、トノサマバッタを見つけて大騒ぎになりました。(^^)

施肥と深耕

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久しぶりの更新です(--;)

水不足と高温で苦難の夏を乗り越した茶園では、秋の肥料散布と深耕の作業が始まりました。

遠くの方で赤いテントウムシのように見えるのが、肥料を散布した後大きく頑丈な鍬で天地返ししていく機械です。

秋芽の成長も水不足の影響で7~10日遅れています。
来春の新芽にとってどのような影響が出るのか心配ですが、10月に入るとご愛飲してくださっているお客さまの多い番茶の収穫が始まります。

業者さんからの予約も順調に入ってきているので、何とかいいものに仕上げたいと男性陣も頑張っています。

二番茶終了!!

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今年の二番茶の収穫がやっと終了します。

今年は初めてと言っていいくらいの長期戦となった一番茶に続く収穫でしたが、今日の作業であとは少し遅れて収穫する紅茶用の茶園のみとなります。

たくさんの方に助けていただいて無事終わりを迎えることができて本当に感謝の一言に尽きます。

今、最後の一列を刈り終えると同時に雨が降ってきました!!
お手伝いいただいたみなさん、本当にお疲れ様でした。

暑~~い<--;>

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梅雨は、どこ行った???
って感じですが、早くも二番茶の収穫が始まりました☆

梅雨が戻ってくる前に少しでも刈り進めたいけど、お茶の木は水分不足…「雨欲しい!!」って言ってるようです。

茶畑ツワー☆

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今回の土佐茶カフェさん企画の茶畑ツワーも、予定外の小雨の天気となってしまいました・・・・が参加者のみなさん、特に子供たちはやる気満々!!  

雨の中、もっと摘みたいと昼食後再び外に出るお子さんもいました。幸いにも小雨程度のお天気だったので何とか茶園散策もできてほっとしています。

お茶のお話をさせていただきながらの淹れ方教室をのぶちゃんがしてくれている間に、私は子どもたちと一緒にどら焼き(緑茶粉末入り)をお茶菓子用に焼きました。

参加者のみなさん、楽しんでいただけましたでしょうか??

地元の小学生が・・!

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今日は、地元の能津小学校の生徒さん達と引率の先生方や地域の女性の方など合わせて約30名が遠足で茶園に来てくれました。

事前の先生方との打ち合わせで、二つの要望が出ていました。

①新芽を摘んで天ぷらにしてお弁当の時食べさせてやりたい。
②手揉み体験をしたい。

短い時間でどこまでできるか不安でしたが、地域の方達にも手伝っていただき何とか無事終了しました。

手揉みしたお茶は、乾燥が不十分なため学校に持ち帰り天日乾燥させたあと、地域の方が仕上げにかるく炒って下さることになりました。また手摘みした茶葉の残りは、家に持ち帰り天ぷらにしてお家の方にも味わっていただくことにしました。

今日は、日差しが強く汗びっしょりになっての体験でしたが、さすがに子どもたちは元気で、私たちもとっても楽しい時間となりました。

近づいてきてます!

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新茶の季節が、もうすぐです。

明日は大荒れの天気だとか・・・でも今日はウグイスも気持ちよくさえずっていて穏やかな一日になっています。
近くに自生するドウダンツツジの花も満開になりました。
花壇のベ二トキワマンサクの花色も鮮やかです。

茶畑の方は日に日に新芽が成長していて、毎年のことなのですが気持ちが落ち着かなくなってきています。が、茶摘み体験やお茶の淹れ方教室、県内外でのイベント販売などの予定も立て込んできていて毎日準備に大忙しの女性陣です。<--;>

そんな気持ちを振り払うかのように男性陣は、工場の整備に黙々と取り組んでいます☆

春も近い?

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事務所前にフキノトウが出てきて「もう春やな~」
と思っていたら、今朝の茶畑は霜でバリバリでした。<ーー;>
遠くの山もうっすら白く見えます。

ところで、この冬の間女性陣で新しい商品の練り直しをしてきましたが、パッケージのデザインに入る段階まできています。

みなさんのお知恵を頂きながら、いい物・おいしい物・身体に優しい物を目標に日々頑張っていますが、こうやって新しい商品の形が見えてくると、気持ちもうきうきしてきて「春が近い」と感じるこの頃です!!

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